”自分を信じてきなさい”by タゴール


僕らはみんな王様だ、この王国のなかで♪
♪僕らは、夢を持って進む、いつかきっと王様の道とひとつになる。

激動の近代インドを生き抜き、戦前日本に5回も来日し親交の深かった詩聖タゴールの”自分を信じてきなさい”と訴える歌の一部です。国は人間が創造してものです。人間の心でできている。SDGsへの取り組みが進み自然回帰がしめやかに浸透してきている中、今年1年の締めくくりにタゴールを取り上げたくなりました。

個人的に、私の2023年がインドカラーが濃厚だったから、という理由のみならず、年の背になぜタゴールかなのかではありますが、一言付け加えるとやはりAmma との繋がりが深まった1年だったからかなとも思います。

ラビンドラナート・タゴールの作品が、特にインドの自然讃歌との関連で現代において再評価されている理由には、いくつかの側面があります。

環境意識の高まり: 現代社会では気候変動や環境破壊への意識が高まっています。タゴールの詩や歌には自然の美しさと重要性を讃える要素が豊富に含まれており、これが環境保護の必要性を感じる現代人の心に訴えかけます。彼の作品には、自然と人間との調和の必要性が反映されており、これが現代のエコロジカルな価値観と共鳴しています。

スピリチュアリティとのつながり: タゴールの作品には深いスピリチュアルな要素があります。彼は自然を単なる物理的な存在ではなく、人間の内面と深く結びついた、精神的な価値を持つものとして描いています。現代社会におけるスピリチュアリティの探求や内省の動きによって、タゴールの自然に対するこのような見方が再び注目されています。

文化・教育的価値の再認識: タゴールは教育者としても知られており、自然を教育と創造の源泉と見なしていました。彼の教育観は、現代における教育の多様化や新たな学習方法の探求と共鳴しています。自然との関わりを通じた教育は、子どもたちに環境意識を育むと同時に、創造力や想像力を豊かにします。

地球規模の問題への対応: タゴールの自然に対する姿勢は、地球規模での共存と相互理解の重要性を強調しています。気候変動のような世界的な課題に対して、異なる文化や国家間での連携が必要とされる現在、タゴールの普遍的な視点は多くの人々に影響を与えています。

文学と自然の融合: タゴールの詩や歌は、言葉を通じて自然の美しさやその変化を捉えています。文学を通じた自然の描写は、環境への関心を高めるとともに、言葉の力で自然を新たな視点から見ることを可能にします。

タゴールの自然に対する深い愛と尊敬は、人間支配が強まった現代社会において、新たな意味と価値を持つようになっています。彼の作品は、自然と人間の関係を再考するための重要なリファレンスとなり、多くの人々に影響を与えているのだと思います。

最後に、この偉大な文豪タゴールについて馴染みのない日本人にも知って欲しく、特筆すべき事項としてその歌が、インドとバングラデシュの国家となっていることも含め説明を加えておきます。

ラビンドラナート・タゴールは、インドとバングラデシュの両国の国歌の作詞者として知られています。タゴールは1861年にインドのコルカタで生まれ、詩人、作家、音楽家、劇作家、画家として多岐にわたる才能を発揮しました。彼はインド文学のみならず、世界文学にも大きな影響を与え、1913年には「ギータンジャリ」でノーベル文学賞を受賞しました。

タゴールの歌がインドとバングラデシュの国歌に採用された経緯には、彼の詩と音楽が持つ普遍性と、インド亜大陸の独立運動時代の文化的・政治的背景が深く関わっています。

インドの国歌「ジャナ・ガナ・マナ」は、タゴールによって1911年に書かれました。この歌はもともと、インド国王ジョージ五世の訪問を記念して作られたものですが、その後、インドの国民的な象徴として受け入れられました。1947年のインド独立後、この歌は公式に国歌として採用されました。

もろびとの心を動かしたまう方よ、勝利あれ、インドの運命を与えたまう方よ!
パンジャブ、シンドゥ、グジュラート、マラータ、ドラヴィダ、オリッサ、ベンガル(の大地)
ヴィンディヤ、ヒマラヤ(山脈)、ヤムナー、ガンジス(河)、高く波立つ大海原
あなたの吉祥の名に目ざめ、あなたの吉祥の祝福をねがい
あなたの勝利への讃歌をうたう。
もろびとの幸せを授けたまう方よ、勝利あれ、インドの運命を与えたまう方よ!
勝利あれ、勝利あれ、勝利あれ、あなたに勝利あれ。

”わが黄金のベンガルよ” P.36
ラビンドラナート・タゴール著 内山眞理子訳 2014

一方、バングラデシュの国歌「アマール・ソナール・バングラ」も、タゴールによって作られた歌です。この歌は1905年のベンガル分割に対する抗議の歌として書かれ、バングラデシュの人々の心に深く根付きました。1971年のバングラデシュ独立戦争の際には、この歌は独立を求める人々の間で広く歌われ、国民的なアイデンティティの象徴となりました。その後、バングラデシュの国歌として正式に採用されました。

わが黄金のベンガルよ、あなたを愛します。
あなたの空、あなたの風、とこしえにわが心深くひびく笛の音。
母よ、ファルグン月(春季)にマンゴーの森にみちる香しさ
いのちくるおしいほど ー
母よ、オグラン月(秋季)の実り豊かな稲田に何という甘美な微笑み。
何という輝かしさ、ここちよい木陰、あなたの深い愛と慈しみ ー
バンヤンの樹下も河辺も、慈愛にみちたあなたの裳裾につつまれて。
母よ、あなたの言葉はわが耳にひびく甘露
いのちくるおしいほど ー
母よ、あなたの顔(かんばせ)がくもれば、わが目より涙があふれる、ああ母よ。

”わが黄金のベンガルよ” P.8
ラビンドラナート・タゴール著 内山眞理子訳 2014

タゴールの歌が両国の国歌となったことは、彼の芸術が持つ普遍性と、その時代の政治的、社会的な動きとが融合した結果と言えます。彼の作品は、国境を超え、人々の心に響くメッセージを持っているのです。彼の成した偉業がそれを象徴しています。

今年は4月、10月に2度の南インド訪問、アシュラムステイで、色々考えることがありました。

皆さんと一緒に100歳現役PPKで、幸せな未来をめざしたい。そのためにできることをやっていきます。

若々しく、喜びに輝き、いのちの力を体験していく、そんな新企画も考えていきますので、2024年もどうぞよろしくお願いいたします。


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